詩集を読む夜

2010年7月30日

詩集を読む夜
IMG_0893.jpg
詩は難しくて、わからない、
ということを、よく聞きます。
たしかに、僕も、そう思います。
通勤電車で、ページをくっても、くっても、
頭に入ってこない。
わかりかけたと思ったのに、次の行で、
わからなくなる。
でも、その難しさには、一読して
理解するには難しい、ということであって、
その背景には、何をするにしても、
急かされる社会、というものがあります。
スピードや、データ。
そういものと拮抗するために、言葉があるのだし、
文学があり、音楽があり、絵画があり、
詩があるのだと思います。
ゆっくりと、自分のペースで読めば、
詩ほど、豊かなものはありません。
これは、自戒を込めて、言っています。
最近は、金子彰子さんの詩集、
『二月十四日』(龜鳴屋)を読んでいます。
言葉に誘発されて、いろいろなことに
思いをはせるのが、とても愉しい。
通勤電車の中ではなく、夜に、机の上で、読みます。
解説で、井坂洋子さんが書いてらっしゃるように、
「読み手の心に、嵩ばらないで、すっともぐりこめる
 
 可能性を秘めている」
そういった、詩集です。
夏の日を、店を、影を、自らの体を、思い出します。
恋人を、町を、眠りを、食事を、思い出します。
才能も、造本もすばらしい。
ちなみに、僕は、「遠山」という詩が、好きです。
限定214部。
もうすぐ、売り切れだそうです。
めでたいです。
金子さんのブログ
http://d.hatena.ne.jp/Kaneco/