『レンブラントの帽子』の概要

2010年5月18日

『レンブラントの帽子』の概要
本日、『レンブラントの帽子』が、
TBSラジオ、「森本毅郎・スタンバイ!」にて、紹介されました!
紹介してくれたのは、本作品の巻末エッセイを執筆者でもある
荒川洋治先生。
聴き逃された方は、ポッドキャストでも聴くことができますので、
ぜひ!!
そこで、あらためて、『レンブラントの帽子』の概要について、
書きたいと思います。
というより、これまでHP上に、ちゃんとしたものを、
書いておりませんでした。
大変失礼いたしました。
バーナード・マラマッド
1914年、ロシアからアメリカに移住してきたユダヤ人を両親として、
ブルックリンに生まれる。ニューヨーク市立大学を経て、苦学の末、
コロンビア大学大学院修士号を取得。以後、教鞭をとりながら、
社会を生きる人間の姿を、細やかな筆致と、独特のユーモアで描き続けた。
代表作に、『アシスタント』(The Assistant・1957)、
『魔法の樽』(The Magic Barrel・1958)、
『修理屋』(The Fixer・1967)など。
86年没。
アメリカでもっとも権威のある賞のひとつといわれる、
全米図書賞を2度受賞しています(1959『魔法の樽』、1967『修理屋』)。
1960年代から70年代にかけて、マラマッドのほとんどの作品は
邦訳されましたが、現在新刊書店で手に入るのは、本作品と、
『喋る馬』(柴田元幸訳 スイッチ・パブリッシング 2009)だけ。
大作家です。
『レンブラントの帽子』(夏葉社版)
絶版になっていた短編集『レンブラントの帽子』から、
主要な3作品を収めています。
「レンブラントの帽子」
同じ美術学校の同僚である、二人の教師は、何気ない会話のあとで、
決定的に仲たがいしてしまう。
おれの何が悪かったのだろう、と悩む30代の男と、何がそんなに
自分を悲しませ、腹だたせるのかわからない、40代の男。
二人の内面の葛藤と和解。
「二0世紀アメリカ文学のなかでも屈指の短編」(荒川洋治)であり、
だれもが経験する日常の心の揺れを描いた、感動作でもあります。
「引出しの中の人間」
ソ連時代のめぐまれないロシア作家は、旅行に来ていた、見知らぬ
アメリカ人に、出版の融通をしてくれ、と何度も何度も頼みこむ。
車で追っかけ、口角泡を飛ばし、激昂しながらも、哀切に満ち溢れた
ロシア人と、彼に惹かれながらも、ソ連という国に怯える、アメリカ人。
マラマッド流のユーモアも盛りだくさん。しかし、やはり、ものがなしい。
それが、マラマッドの魅力だといえます。
本作品は、1969年のO・ヘンリ賞(First prize)の受賞作でもあります。

「わが子に、殺される」

「ハリィ、どう言ったらいいのかな。
 でも、人生なんて決して楽なもんじゃないんだよ。
 それだけしか、わしには言えない。いつからそうなったんだって? 
 それはわしのせいでもなけりゃ、お前のせいでもないさ。
 それが人生なんだ。人生ってものは、そういうものなんだ ――
 それ以上のことは、わしには言えないよ。
 でもなあ、人間、生きる気持ちがなくなってしまえば、死んだも同然で、どうにもらないんだよ。
 ぜんぜん、どうしようもないんだ。どうしようもないってことは、どうしようもないことなんだ。
 生きるほうが、まだマシなんだよ」
ひきこもる息子を追い求める、父の姿。
14ページの短い物語ですが、心にしみわたります。
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