戦前三度の芥川賞の候補になるも、いずれも受賞を逃した作家、埴原一亟(はにはら・いちじょう)。小説を書きながら古本屋を営んだ日々を描いた小説は、貧しさにまみれながらも、生きる活力にあふれる。つげ義春の読後感にも似た、珠玉の短編集。