あっというまに、今年も終わりです。
いろいろ書こう、書こうと思っているうちに、
時間だけが過ぎてしまいました。
そんなふうにして、この1年という時間までもが、
過ぎゆこうとしています。
たくさんのことがありすぎて、うまく思い出せません。
とにもかくにも、原稿を快諾していただいた先生方、
デザイナーさん、支えてくれている友人たちには、
心から感謝しております。
本当にありがとうございます。
来春、2冊の本を刊行する予定です。
詩の本と、もう一冊、アメリカの古い小説が出ます。
どうか、ご期待ください。
ちなみに、今年の私のベストスリーは、
1.『1968(上下)』 小熊英二 新耀社
2.『楡家の人々』 北杜夫 新潮社 (1964年)
3.『反貧困』 湯浅誠 岩波書店(2008年)
でした。
どうぞよいお年を。
月: 2009年12月
すばらしきかな、マラマッド
すばらしきかな、マラマッド
めっきり、寒くなりました。
「夏葉社」の看板が指し示すとおり、
冬がとても苦手です。
歩いているときも、必要以上に、
背中が丸まります。
recommend は、マラマッド。
私が大好きな作家です。
過小評価され、その名も忘れかけられている昨今、
柴田元幸先生の翻訳で蘇りました。
アメリカ文学者の井上謙治先生は、
『アメリカ読書ノート』の中で、
マラマッドの言葉を下記のように引用しています。
「文学は人間について語ることによって、人間を尊重し、
ロバート・フロストの詩が『混乱に対する一時的な支え』
であるように、倫理を志向するものである。
芸術は人生を讃え、われわれに基準を与えるのである」
さまざまな意見があるでしょうけれども、私は、古くから続く、
このような文学に対する信頼を忘れまい、と思っています。
寒い冬の夜は、マラマッド。
友だちが増えたような気にもなります。
『四万十日用百貨店』
『四万十日用百貨店』
一昨日の日曜日に、TBSの情熱大陸で、『自遊人』の
岩佐十良さんが特集されていましたけれど、氏の拠点は、
都会の喧騒から離れた、新潟県の南魚沼にありました。
この本の著者である、迫田司さんは、高知県の四万十在住。
そこにあるのは、沈下橋。
天然うなぎ。
野生の鹿。
ああ。
しかし、もともと、四万十の人ではないのです。
デザインを通して、集落に関わり、そこにあるものから、
デザインを日々学んでいるのです。
それは決して美しい自然だけではなく、
酒の席のおじさんの声であり、
「土州勝秀」の腰なたであり、
長年続く神様を迎えるお祭りであり、
薄暗い、夜の路地であり。
そうした生活に基づいたものこそが強いのだ、
と私は思います。
新しいものを創るのではなく、
日々の生活の中から、発見すること。
刺激を受けます。
と同時に、笑みも浮かびます。
ぜひ、ぜひ、読んでみてください。
好著ぜよ。
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(蛇足。ただ言いたいだけ)