冬の同僚。

冬の同僚。
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写真は、冬の同僚です。
どうにも寒さが苦手なもので、
毎朝、このポットの中にお茶を入れ、
ちびちび、ちびちび、飲んでおります。
本づくりは順調に進んでおります。
夏葉社の1作目は、詩とイラストの本です。
何度も読み返される本をつくります。
フットワーク軽く、考えます。

鼻歌の記憶。

鼻歌の記憶。
自宅への行き帰り、よく鼻歌をうたっています。
知らず知らずのうちにうたっていることもあれば、
今日はこれをうたおうと、意気込んでうたうこともあります。
この1ヶ月は、
「チャコの海岸物語」 サザンオールスターズ
「いっそセレナーデ」 井上揚水
「Smooth Criminal」 マイケル・ジャクソン
の3曲がヘビーローテーションです。
今年の5月は、
「デイドリーム・ビリーバー」 ザ・タイマーズを、
昨日は、
「悲しくてやりきれない」 ザ・フォーク・クルセダース
をうたっていました。
めっきり秋になりました。
例年より、ほんの少しだけ大きな声で、
歌をうたっております。

毎日新聞の『読書世論調査』はおもしろい。

毎日新聞の『読書世論調査』はおもしろい。
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活字離れ、活字離れ、と業界ではよく言いますけれど、
それを聞くたびに、ほんとう? と思ってしまいます。
なにか、根拠があるというわけではないのです。
実感として、少なくとも、私が大学生だったころと、
状況はそんなに変わっていない気がしています。
本が好きな人は本を買うし、好きでない人は買わない。
どっちが良いという話ではないけれども、出版社をやっている
人間としては、本をもっと買って、読んでほしい。
願いです。
そのために、何かできることがあればやりたい。
ほんとうです。
最近、古書店で、『読書世論調査30年』(毎日新聞社/1977年刊)
という本に出会い、毎日、少しずつ読んでいます。
毎年、このようなことをやってくれているなんて、ほんと、頭が下がります。
調査規模は、一番多いときで、18,243人。
ちなみに、2009年版だと、2717人(いずれも回答数)。
読書率、一番好きな作家、最近買った本、好きなマンガ家、
などが主な質問項目で、調査は1947年から始まっています。
たとえば、冒頭に話した書籍読書率は、下記のとおりです。
無題
細かくて見にくいですけれども、縦軸が、書籍読書率(%)、横軸が年で、
グラフに投入している数字は、1949年~1976年、それと、2009年です。
(グラフが最後に跳ね上がっているのは、33年も間が空いているからです)
数字で言うと、たとえば、1949年の調査で、書籍を読みますか? との問いに、
大都市(東京23区・大阪市・横浜市・名古屋市・京都市・神戸市)の30.6%が、
小都市(それ以外の市)の28.1%が、町村(郡部)の11.0%が、はい、とこたえています。
それが、1968年になると、それぞれ、62.9%、53.9%、42.1%と上昇しています。
そして、2009年になると、大都市(23区と政令指定都市)の84%、小都市
(人口20万人未満の市)の76%、町村部の74%が、はい、私は書籍を読みます、
とこたえています。
うーん。
活字離れとはやっぱり嘘じゃなかろうか、と思ってしまいます。
そして、さらにおもしろいのが、1日にメディアに使う時間の平均です。
1952年の調査では、アンケートの回答者は、1日あたり、
書籍・雑誌に29分、新聞に36分、ラジオに1時間39分の時間を、
平均して使っています(計2時間44分)。
それが、1968年になると、書籍・雑誌に35分、新聞に32分、ラジオに35分、
テレビに2時間29分(!)に変わります(計4時間11分)。
そして、2009年では、書籍・雑誌に56分、新聞に38分、ラジオに48分、
テレビに3時間01分、インターネットに37分、という調査結果が出ています。
(なんと、平均で、計6時間!!)
まあ、働いている身としては、6時間という数字に実感は湧かないのですけれども、
性別や、年代別で詳しい数字を見てみると、そうかもしれないなあ、という感じも
してきます。
もちろん、これらの数字を鵜呑みにして、どうこうという話ではありません。
なんというか、謙虚に、柔軟に考えよう、と日々思っているのです。

googleブックの問題と衝撃(長いです)。

googleブックの問題と衝撃(長いです)。
無題
今さらながらですが、googleブックについて。
試したことがある人にとっては、もう十分すぎるほどわかっていることだと思いますが、
これ、ほんとに、すごいです。
版元や、一消費者の観点を越えて、ただただ、驚いてしまいます。
たとえば、夏葉社と少し関係がある(名前だけですが)、
作家の「瀬沼夏葉」を検索すると、158件の書籍がヒットします。
つまり、「瀬沼夏葉」に言及している、158冊の書籍のタイトルと、
その掲載ページが、コンマ何秒でわかってしまうのです。
(そして、うち4冊のかなりの部分を、実際に読むことができます)
もちろん、すべての書籍をgoogleが網羅しているわけではないですけれども、
2009年1月5日以前に刊行されたすべての書籍がその対象となっているわけで、
そのカバーする範囲は、日々、広がっていくことになるでしょう。
消費者や学生にとって、こんなに便利なものはありません。
が、著者、版元にとっては、メリット、デメリットの双方があります。
メリットは、埋もれていた書籍に光があたること。
デメリットは、………… これは、下記のように長くなります。
そもそも、一連のgoogle訴訟は、アメリカではじまり、アメリカで
和解・合意したものです。
それがなぜ、日本で問題になり、なぜ日本でもまかり通っているのか。
軸になるのは3点です(3点もあるから、わかりにくいのです)。
① 「集団訴訟(クラス・アクション)」。
集団訴訟とは、薬害問題や、欠陥品保障など、当事者が多い場合に
用いられる訴訟方式で、その判決結果は、すべての利害関係者に対して、
効力をもちます。
googleブック訴訟の原告は、アメリカ作家協会とアメリカの主要出版社5社であり、
彼らは、日本ではなじみの薄い、「集団訴訟」という形で、googleと対峙しました。
② 「ベルヌ条約」。
世界各国は著作権を自国の法律によって保護していますが、国を越えて、たとえば、
日本では著作権が守られていても、他国では守られない、という事態を避けるために、
それぞれが、ベルヌ条約に加盟しています。
そして、信じられない話なのですが、①の「集団訴訟」での合意結果は、
②の「ベルヌ条約」加盟国の範囲に及ぶのです。
③ 「フェア・ユース」。
googleは、今回の訴訟以前より、一貫して、googleブックが「フェア・ユース」であると、
主張しています。
「フェア・ユース」とは、私の理解する限り、著作権法の引用の原理に基づいており、
つまり、「報道、批評、研究など」の正当な目的で、書籍を引用する場合は、
原作者に対して許可をとらなくてもいい、ということが前提になっています。
つまり、googleが無断で700万冊(!)もの書籍をスキャンし、すべてのユーザー
に対して、公開するのは、「報道、批評、研究など」に貢献するためなのだ、というわけです。
だから、googleは、問題が解決する以前から、独自の判断で、「googleブック」を始め、
それを今もなお、継続しているのです。
長くなりましたが、ここからが、本題です。
正直に言うと、googleブックのやっていることは、小社のような小さな出版社にとっては、
デメリットより、メリットのほうが大きいです。
販売チャンスは増えますし、ひとりで企画・編集をするうえで、こうしたツールの存在は、
時間とお金の節約になります。
けれど、本の未来を考えると、そうとう、怖いです。
1冊の本は、文字通りデータに解体され、情報の束になってしまいます。
必要なところだけ読み、必要なところ以外は知らない。
それは、読書ではありません。
読書のおもしろさは、そんなところにあるわけではありません。
1冊の本が創り出す、その全体像にこそ、本の価値があります。
こうした、語るのに難しい本の魅力は、googleブックなどの興隆によって、
ますます共有されなくっていくのだと思います。
本の面白さを知らない人は、本を買いません。
コピー&ペーストで終わりです。
それが危機以外のなんでありましょうか。

起業して1ヶ月。

起業して1ヶ月。
経ちました。
あっという間です。
ビックリしてしまいます。
早く出版物のお知らせをしたいのですが、
もう少し時間がかかりそうです。
極秘裏に(誰に内緒というわけでもないのですが)、
二冊目の企画も進めています。
三冊目も少しだけ。
どうか、もう少々、お待ちください。
なお、余談ですが、本日から吉祥寺ロンロンの二階が改装に入りました。
ブックファーストさんの新刊棚を眺めるのが、日課だったのに。
少しさびしいです。