なぜ、『レンブラントの帽子』を?

なぜ、『レンブラントの帽子』を?
「マラマッド、地味な作家だね~」
と、言われることがあります。
けれど、そう言われることのほうがまれで、
「マラマッド? わからない」
と言われることのほうが多いです。
では、なぜ、『レンブラントの帽子』を、
刊行したいのか。
時計は、ずいぶん、さかのぼります。
2001年5月に出版された『文学が好き』
(荒川洋治 著 旬報社)という本があります。
私は、発売間もないころに、このエッセイ集を買い、
何度も何度も、読み返していました。
その中のエッセイのひとつに、
「21世紀への10冊」というものがあります。
荒川洋治が、「21世紀に読み継ぎたい10冊」
を選ぶのです。
その中の1冊が、『レンブラントの帽子』でした。
「マラマッドやシンガーの短編の世界を知ると、他のあらっぽいものでは
 とても楽しみが得られないと思ってしまう。」(『文学が好き』P200より)
しかし、当時は絶版で(1975年刊行)、
いろんな古本屋を探してみても、この本に出会うことが
できませんでした。
当時は、いまほど、ネット古書店は多くなく、また、
当時の私は、ネット古書店よりも、実際に古本屋に足を運ぶ
ことのほうが好きだったのです。
だから、世田谷の古書店で、この本に出会った時は、震えました。
本当はこんな本ないのではないか? くらいに思っていましたから。
1975年に集英社から出た『レンブラントの帽子』には、
8つの短編が入っています。
しかし、多くの短編集がそうであるように、すべてがよいわけでは
ありません。
けれど、表題作、「レンブラントの帽子」の良さは格別でした。
本当に、胸をうつ。
地味で、誰にでもおこる、他愛もない話なのに、心にしみる。
私は、以来ずっと、この短編はもっと読者に知られるべきだと思ってきました。
文学ファンにも、文学ファンじゃない人にも。
大傑作だと思っています。
本当に、もうすぐ出ます。
5月14日に取次納品の予定です。
どうか、よろしくお願いいたします。