いまなお多くの作家たちに影響を与える、唯一無二の作家の最晩年の短篇を九つ収録。
ラヴ・レターとは特定の女性や妻に書かれたものではなく、小説の形でしか語り得ないもの、『今こうして書いてくると、そうではなかった。ではなんのことを書こうとしたのか、というと、よく分らない』、そういう『分らない』ものに向けられた愛の表明なのである(巻末エッセイ・堀江敏幸)。