円頓寺 本のさんぽみち

11/18、19日の両日に開催される、名古屋の「円頓寺 本のさんぽみち」に5年ぶりに参加します。2019年にも参加予定でしたが、直前にインフルエンザに感染し、参加を見送ったのでした。 愛知はもちろん、北陸、三重、京都、東京など様々なエリアから本屋さんや出版社がイチオシの本を持って、商店街を彩ります。 最寄り駅は桜通線の「国際センター」。名古屋から一駅です。11時から16時まで本を並べてお待ちしております。どうぞよろしくお願いいたします。 島田潤一郎

『古本屋 タンポポのあけくれ』

2023年10月20日に、片岡千歳さんの『古本屋 タンポポのあけくれ』という本を刊行いたしました。オリジナルの本は2004年の2月15日に刊行されておりますから、約20年ぶりの復刊ということになります。 古本にかんする本を読んでいて、高知県の古書店主が残したこの随筆集の存在を知り、けれど、『昔日の客』のときと同じく、どこにも売っていなく、はじめは、高知県立文学館で読んだように記憶しています。 最初に読んだときから、いいなあ、とずっと心に残っていました。古本にたいする造詣が深くなくても、文学に詳しくなくても、作者の本への真摯な思いを読んでいるだけで、こちらの心が洗われる、そんな本でした。 「私は古本屋をしております。父が亡くなって姉も女学校を中退し、私は高校へ進学できませんでした。卒業間近くなり、いよいよ進学は無理と分かった時、私の前途は閉ざされたような気持ちでした。そんな暗い思いでいた私に、先生はおっしゃいました。 ?お前は何のために高校へ行きたいのか??高校へ行かなくても勉強はできる。本を読みなさい。岩波文庫の後ろのページに、世界の古典の目録が出ている。あれを全部読んだら高校卒、いや大学卒にだって負けない? 先生は教えてくださいました。私は岩波文庫の目録全部は、とても読めませんでしたけれど、岩波文庫を手にした時は、目録まで読んで、古典と言われる本の名前を覚えました。古本屋をやってこられたのは、先生にあの時教えて頂いた、岩波文庫のおかげです。先生ありがとうございました」 こんな文章を読むとぼくもまた店で本を買い、勉強をしたくなります。 著者が夫婦で経営した古本屋「タンポポ書店」はすでになく、著者の片岡千歳さんも、夫の片岡幹雄さんも他界されています。けれど、この本を読めば、いつでもなつかしい古書店を訪ね、詩を愛するご夫婦に会うことができます。 貼り函入りの、シンプルで、丈夫な仕様です。ぜひ書店でお手にとって、ご覧ください。 店で働く片岡千歳さん(ご家族提供) 『古本屋 タンポポのあけくれ』著者:片岡千歳装丁;櫻井久(櫻井事務所)装画(刺繍):すずきくみこ価格:2600円+税版型:四六判/仮フランス装頁数:320頁ISBN 978-4-904816-45-5 C0095

山の上の文章教室

今年の4月より、川崎市生田にある庄野潤三さんの家で、文章教室を開催いたします。 「文章教室」といっても、作家を目指すためのものではなく、また本を出すためのものでもなく、文章を書く楽しみをみなで共有するための「教室」です。 個人的で、些細なことを、書き留める。書くよろこびを知るための「教室」を目指します。ですので、文章をまったく書いたことのない人でも、気負わずご参加いただけたら、と思います。 参加者は各回8人まで。毎回、期日までに、原稿用紙2枚程度の原稿を書き上げ、その感想をみなで伝え合います。 講師はわたし、夏葉社の島田潤一郎です。編集者の目線で、文章のアドバイスをします。教室は1年間で全6回、最後にはワイワイ文集をつくれたらいいな、と思っています。 参加ご希望の方は3月18日から31日のあいだに、メールか( info[@]natsuhasha.com ※ [ @ ] を@に変えて送信してください)、おハガキで、「山の上の文章教室参加希望」と明記のうえ、下記の5つをお知らせください。・ご住所・お名前・電話番号・年齢・希望クラス 参加資格のようなものはありません。パソコンがつかえなくても大丈夫です。応募多数の場合は抽選とさせていただきます。 山の上の文章教室 参加費:2万円(税込)時間:毎月第4土曜日、14時から16時募集:2クラス    Aクラス開催日          4/22(この日は記録映画の撮影が入ります。          映りたくない方は事前におっしゃってください)          6/24          8/26          10/28          12/23          2/24    Bクラス開催日           5/20(すいません。この日だけは第3土曜日です)          7/22          9/23          11/25          1/27          3/23 なお参加費用の一部は「山の上の家」の維持費とさせていただきます。

チャリティ販売会のおしらせ

3月4日の土曜日、弊社事務所にてチャリティ販売会を開催します。書店より返本され、痛んでしまった弊社刊行の書籍をすべて500円で販売いたします。ヤケや折れがあるという意味では古本ですが、だれも読んでいないという意味では、新本です。売上はすべて、2月6日に起こったトルコ・シリア大地震の支援活動を行う「国境なき医師団」に寄付します。 販売は11時から15時です。珍しい本はありませんが、お買い得ですので、ぜひお立ち寄りください。弊社事務所は、吉祥寺駅から徒歩15分ほど。下記に地図を記しておりますが、近辺には本屋さん、古本屋さんがたくさんあります。ぜひ散策されてください。

『本屋で待つ』

12月8日取次搬入で、『本屋で待つ』を刊行いたしました。著者は広島県庄原市の書店「ウィー東城店」の佐藤友則さん。佐藤さんの話を2年にわたって聞いたものを、私(島田潤一郎)がまとめました。 人口約7000人の町にある「ウィー東城店」。老舗書店の長男だった佐藤さんは、町民の相談ごとに耳を傾け続けることで、赤字続きだった店を立て直します。 「電化製品がこわれた」「年賀状の字がもう書けない」「普通免許をとりたいけど、母国語のポルトガル語しか読めない」 町の人びとは、本屋へ行けばなにかヒントがある、と考えて、本屋にやってきます。その本にたいする信頼、そして本を売る人への信頼が、ウィー東城店を特別な店に変えていきます。 本書が感動的なのは、ウィー東城店が町の人びとの相談ごとのひとつとして、次々に学校へ行けなかった若者たちを雇用し、彼らが社会へ出るための後押しをしていることです。本のある場所で、本を求める人と会話することが、若者たちの心を少しずつ癒やしていきます。本書はその貴重な記録でもあります。 装画・挿絵はマンガ『急がなくてもよいことを』が好評なひうち棚さん。お近くの書店で、ぜひご覧ください。 『本屋で待つ』著者:佐藤友則、島田潤一郎装丁;櫻井久、鈴木香代子(櫻井事務所)価格:1600円+税版型:四六判変形/ハードカバー頁数:298頁ISBN 978-4-904816-43-1 C0095 ※取次に納品する日は12月8日ですが、その日に一斉に書店店頭に並ぶというわけではありません。流通の関係で、書店での発売日はマチマチです。取次納品日から1週間~2週間かかる場合もございます。ご注意ください。

『絵本のなかへ帰る 完全版』

12月8日取次搬入で、髙村志保さんの『絵本のなかへ帰る 完全版』を刊行いたしました。 髙村さんは長野県茅野市にある書店「今井書店」の店主。書店の創業者である父が読んでくれたたくさんの絵本。髙村さんはその絵本の魅力を1冊1冊紹介しながら、過ぎ去った昔に思いを馳せます。 初めて出会った絵本のこと。 子育てに苦しんだとき、息子に読んだ絵本のこと。 いまは亡き人と話し合った大切な絵本のこと。 この本を読むと、なにより絵本を読みたくなります。 「完全版」と銘打っていますのは、以前、1500部限定で、弊社の別レーベル(岬書店)よりこの本を刊行したことがあるからです。 今回はそのオリジナルの『絵本のなかへ帰る』に・さいごのゆうれい・鈴狐騒動変化城・オイモはときどきいなくなる・子どもに語るアジアの昔話の4編を追加いたしました。 どれもすばらしいエッセイです。 近辺の書店でぜひご覧ください。 『絵本のなかへ帰る 完全版』著者:髙村志保装画;きくちちき装丁;櫻井久、中川あゆみ(櫻井事務所)価格:1600円+税版型:四六判変形頁数:192頁ISBN 978-4-904816-42-4 C0095 ※取次に納品する日は12月8日ですが、その日に一斉に書店店頭に並ぶというわけではありません。流通の関係で、書店での発売日はマチマチです。取次納品日から1週間~2週間かかる場合もございます。ご注意ください。

『定本 本屋図鑑』原画展・町の本屋と本のはなし

吉祥寺の書店、ブックスルーエさんで現在、『定本 本屋図鑑』の原画展が開催されています。虫眼鏡をもって、じっくり見たくなるような、得地直美さんの細やかで、けれどあたたかな絵の数々。展示にあわせて、本屋さんにまつわる本を、編者の空犬太郎さんと私で選び、販売もしています。9月30日まで。お近くにお越しの際は、ぜひブックスルーエさんにお立ち寄りください。 なお、このフェアにあわせて、ブックスルーエさんのHPで弊社の本の販売を行っています。もしよかったら、こちらも覗いてみてください。https://www.bmshop.jp/cgi-bin/bms/list.cgi?ctg_id=natuhasya 吉祥寺の書店、ブックスルーエさんで現在、『定本 本屋図鑑』の原画展が開催されています。虫眼鏡をもって、じっくり見たくなるような、得地直美さんの細やかで、けれどあたたかな絵の数々。展示にあわせて、本屋さんにまつわる本を、編者の空犬太郎さんと私で選び、販売もしています。9月30日まで。お近くにお越しの際は、ぜひブックスルーエさんにお立ち寄りください。 なお、このフェアにあわせて、ブックスルーエさんのHPで弊社の本の販売を行っています。もしよかったら、こちらも覗いてみてください。https://www.bmshop.jp/cgi-bin/bms/list.cgi?ctg_id=natuhasya

『定本 本屋図鑑』

7月21日取次搬入で、『定本 本屋図鑑』を刊行いたします。 2013年の夏、弊社は『本屋図鑑』という本を刊行いたしました。全国47都道府県の「町の本屋さん」を取材し、得地直美さんが緻密なイラストを描いたその本は好評を博し、2度の増刷をしました。個人的にも、全国を旅し、地域に根ざした本屋さんを自分の足で探して、取材した本ですので、思い入れがあります。 その発売から9年、『定本 本屋図鑑』を刊行いたします。『本屋図鑑』に収録された内容はそのままに、あらたに8店舗の新規取材を加え、「本屋さんの歴史」を大幅に改稿しました。(「スリップの歴史」と「本屋さんの一年」という新しい原稿もあります)さらに、2014年に刊行し、品切れになっている『本屋会議』から評判のよかった記事を6本加えました。登場する書店は76店。全部で400ページ。「本屋本」の決定版と宣伝したい、大ボリュームの1冊です。ぜひ、お近くの書店でお求めください。 なお、本書の刊行を記念して、東京・荻窪のTitleさんで原画展がございます。会期は7/15~7/31です。https://www.title-books.com/event/10221 また、東京の往来堂書店さんでは、「本屋この10年、変わったこと、変わらないこと」と題したトークイベントを行います。登壇するのは、往来堂書店店主の笈入建志さんとぼく(島田潤一郎)、司会は本屋図鑑編集部の空犬太郎さんがつとめます。店舗での観覧は締め切りましたが、Zoomでの視聴は可能です。もしよかったら、ご参加ください。http://www.ohraido.com/archives/11257 『定本 本屋図鑑』著者:本屋図鑑編集部 編 得地直美 絵装丁;櫻井久、中川あゆみ価格:2000円+税版型:四六判/ハードカバー頁数:400頁ISBN 978-4-904816-41-7 C0095 ※取次に納品する日は7月21日ですが、その日に一斉に書店店頭に並ぶというわけではありません。流通の関係で、書店での発売日はマチマチです。取次納品日から1週間~2週間かかる場合もございます。ご注意ください。

『万感のおもい』

4月28日取次搬入で、万城目学さんのエッセイ集『万感のおもい』を刊行いたします。 万城目さんといえば、長編小説のイメージがありますが、エッセイもまたすばらしいのです。もりだくさんのユーモアのなかに、一筋の叙情があるその世界は、唯一無二のものだと思います。 本書は、さまざまな媒体で発表されてきたエッセイのなかから42編を精選したものです。創作のこと、大阪のこと、京都のこと、季節のこと、家族のこと。なかでも、親しい人との別れを綴った数編は、いつまでも心に残ります。 『万感のおもい』の判型は、通常の書籍の縦横をちょうど逆にした形です。めずらしい、横長のハードカバー。装丁のストライプは、本書のなかにある「色へのおもい」から着想したものです。プレゼントにもおすすめです。 ぜひ、お近くの書店でお求め下さい。 『万感のおもい』著者:万城目学装丁;櫻井久価格:1600円+税版型:四六判変形/ハードカバー頁数:176頁ISBN 978-4-904816-40-0 C0095 ※取次に納品する日は4月28日ですが、その日に一斉に書店店頭に並ぶというわけではありません。流通の関係で、書店での発売日はマチマチです。取次納品日から1週間~2週間かかる場合もございます。ご注意ください。

「みすず」読書アンケート特集

本を愛する人たちが毎年たのしみにしている「みすず」の読書アンケート特集。わたしも毎年、買っています。 今年は石原千秋さんが『私の文学渉猟』をとりあげてくださいました。「何よりもどの文章も実に楽しそうに書いている感じがして、ほんとうに羨ましい」との評。『私の文学渉猟』は著者が文学を楽しんでいる文章を選んで、まとめた1冊ですので、このような言葉をいただきうれしく思います。 一方、学者としての曾根先生の仕事は、『伊藤整とモダニズムの時代』(花鳥社)にまとめられています。こちらは同じ「みすず」で、武藤康史さんがとりあげてらっしゃいます。 読み応えたっぷりのこの冊子は税込み330円。東京堂書店、ジュンク堂書店などでお買い求めいただけます。