尾形亀之助『美しい街』

2月17日(金)、取次搬入で新刊を出します。

戦前の詩人、尾形亀之助の選詩集です。
この素晴らしい詩人をどう伝えればいいのか、
いつも迷うのですが、

 

眠らずにいても朝になったのがうれしい

消えてしまった電燈は傘ばかりになって天井からさがっている

 

街が低くくぼんで夕陽が溜っている

遠く西方に黒い富士山がある

 

というような短いを詩をいくつも残しています。

哀しみがあって、さみしさがあって、笑いがあって、
凛とした孤独がある。
何回読んでもあたらしさを感じる詩です。
読む人の孤独を支えてくれるような詩でもあります。

『美しい街』では尾形亀之助の初期から晩年まで
全作品のなかから55の詩を選んでいます。
作品の合間々々には、同じ時代に活躍した夭折の画家、
松本竣介のデッサンが入ります。

巻末には、尾形亀之助を一番好きな詩人だという
能町みね子さんの書き下ろしエッセイが収録されます。
こちらもぜひ読んでほしいです。

弊社の社是どおり、何度も読み返せる本だと思っています。
ぜひ書店店頭でご覧になってください。

『美しい街』
著者:尾形亀之助、松本竣介
デザイン :櫻井久
価格:1600円+税
版型:四六判上製変形
頁数:176頁
ISBN 978-4-904816-22-6 C0092


取次に納品する日は2月17日ですが、
その日に一斉に書店店頭に並ぶという
わけではありません。流通の関係で、
書店での発売日はマチマチです。
取次納品日から1週間〜2週間かかる
場合もございます。
ご注意ください。

得地直美『神保町』展

2017年の1月5日(木)から15日(日)まで

京都のレティシア書房さんで、『神保町』展が開かれます。

得地さんの生の線をぜひ見にいらしてください。

心があたたまります。

レティシア書房さんも素敵なお店です。

『移動図書館ひまわり号』について

文字どおり四七の都道府県を取材してまわったのは、二〇一三年のことだ。北海道の稚内から沖縄県の石垣島まで旅してまわり、その都道府県にある町の本屋さんを訪ねた。

町の本屋さんはいま、とても苦しい状況にある。人口の減少、町の空洞化、スマートフォンという外来種。いろんな原因が複合的に重なりあって、町の本屋さんの売上は下がり続けている。

東京で電車に乗っていても、みなスマートフォンの画面を真剣に見つめ、指でなにやらいじくっている。ぼくだって、ときどき、そうなのだ。ツイッターを眺め、ニュースをチェックし、家族や友人たちにメールを送る。あっという間に、三〇分も経っている。本を読む時間が、どんどん減っている。

スマートフォンに表示される言葉と、本に載っている言葉は、ずいぶんと違うように感じる。本に載っているような言葉がスマートフォンに表示される場合もあるし、スマートフォンに表示されている言葉が本になっていることもあるけれど、はたしてこの二つの言葉の出自は同じなのだろうか、と懐疑的になることのほうが多い。

スマートフォンの言葉は軽い。なぜ軽いのか。それはいつでも発言できるし、削除できるし、つまり書き換え可能な言葉だからだ。すぐに弁明できる言葉だからだ。友人たちとの間でだけ流通する言葉だからだ。匿名だからだ。

それだけではない。サイトへのアクセスを増やすことがそのまま利益につながるような人たちが、著作権を無視して、あることないことをホームページやブログに書いたり、だれかの文章をそのままコピー&ペーストをしたりしている。彼らの目的は、アクセスを増やすことであるから、その内容はどんどん過激になる。暴言。暴露。裸体。死体。近年イスラム国が影響力を爆発的に高めたのは、彼らがインターネット上のマーケティングに長けていたからだ。

これらの言葉にたいして、本の言葉は、いかにも重い。ニュース性も、即効性もない。長い時間をかけてひとりの作家が書いたものに、編集者が意見をする。作家は書き直す。校正者が校正をする。彼らは何度も何度もゲラをやりとりし、確認し、デザイナーがデザインをして、ようやく印刷所に入稿する。それから二~四週間で本ができる。企画構想から一〇年などというのは、決して珍しい話ではない。

そうしてできあがった本は、なにかを伝えるけれども、その大切ななにかは、優れたものであればあるほど、一言では言い表せない場合が多い。「いいんだよ」「とにかく読んで」「君の意見が聞きたい」。そうして幸運なことに、勧めた相手もその本を手にとってくれて、そして読み終わって、「よかったよ」といってくれても、うまく返事をすることもできずに、「やっぱり、そうだろ」と返すことしかできない(すくなくとも、ぼくの場合)。

本を読むということは、基本的に、一対一の時間を過ごすということだ。雑念を払い、ゆっくりページをめくりながら、作家の物語・主張・論考に耳を澄ます。こうした時間が、言葉をとおして、「私」を育てる。一〇〇冊読んで足るというものではない。多様性とはそんなに甘いものではない。本という媒体をとおして考え続けることが、よりよい理想に近づくためのひとつの方法だと思う。

実をいうと、ぼくは絶望しかけていたのだ。全国の本屋さんの話を聞いて、本はもっともっと読まれなくなるし、本屋さんはもっともっと減っていくし、重たい言葉はインターネットの軽い言説に駆逐され、「効率的」「合理的」という物差しのもとに不要とされる。そんな未来が来ることを予想していたのだ。

そんなときに出会ったのが、『移動図書館ひまわり号』だった。一九六五年以前の暗い図書館の話は、いまの社会がたどり着く場所のように思えた。その暗い図書館が、五〇年前に、人々の情熱と知性と実践によって劇的に変わっていくさまは、ぼくの大きな希望になった。

『移動図書館ひまわり号』が絶版になっていると知ったときには、いつか復刊したいと決めていた。ぼくは『移動図書館ひまわり号』を読んで感動するだろう人たちと、前川先生たちが未来を切り拓いていったように、なにかをやりたいと思うのである。

『神保町』のちょっとしたニュース

 

東京堂書店さまでの11月8日調べ
「週間ベストセラー」で2位になりました。
その翌週は6位でした。
ありがとうございます!
書評家の岡崎武志さんが『神保町』のことを
ブログで、こう評してくださっています。
「多くは道の対岸から引いた目で、神保町の古書店を中心とした建物群、
街角などをスケッチしている。大胆な線で、大きく対象を捕らえ、しかし
全体から受ける印象は繊細である。いつも見慣れている神保町だが、
こうしてつくづくと眺めることはないだけに、建物との出会いが大変新鮮である。
これはやっぱり写真とは違う、一人の絵描きが、目と腕を連動させて、手先から生み出す、
もう一つの世界なのだ。画集なのに、詩集を読んでいる気にもなる。」
http://d.hatena.ne.jp/okatake/20161110
最高にうれしいです。
みなさまもぜひ『神保町』を、部屋で、カフェで、電車のなかで楽しんでください。

神保町

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11月3日(金)、取次搬入で新刊を出します。
(神保町界隈では10月28日から発売です)
弊社にとって初めての画集のような本です。
その名も『神保町』。
『本屋図鑑』のイラストを手がけた得地直美さんが
128ページにわたって、神保町の町の風景を描いています。
神保町に行ったことがある人なら、「ああ、ああ」とため息が
もれます。
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町のディティールではなく、町全体の雰囲気を1冊の本に
パッケージしました。
かのジェイムズ・ジョイスは、
「たとえダブリンが滅んでも、『ユリシーズ』があれば再現できる」
と語ったそうですが、この『神保町』があれば、
たとえ神保町に行けないときでも、町の空気は存分に味わえます。
いいですよ。
なお、『神保町』発売に合わせて、
①10月28日より、三省堂書店神保町本店さんでパネル展が
開催されます。
②東京堂書店さんで、得地直美さんが店内の「軍艦」を描いた
Tシャツが発売されます。デザインは6JUMBOPINS さん。
こちらも28日から。
③神保町ブックフェスティバルに今年初めて弊社も出店し、
『神保町』を販売いたします。
秋の日にぜひ、お出かけください。
『神保町』
著者:得地直美
デザイン :櫻井久、中川あゆみ
価格:1700円+税
版型:A5判変形、上製
頁数:128頁
ISBN 978-4-904816-21-9 C0000

取次に納品する日は11月3日ですが、
その日に一斉に書店店頭に並ぶという
わけではありません。流通の関係で、
書店での発売日はマチマチです。
取次納品日から1週間〜2週間かかる
場合も多々ございます。
ご注意ください。

7周年フェア

7周年フェア
早いもので、今年の9月1日から、
弊社は8年目に入ります。
自分ひとりの力ではなにもできませんでした。
読者のみなさま、書店のみなさまのおかげです。
感謝しています。
姫路のおひさまゆうびん舎さまでは、弊社の7周年を
記念して、フェアをしてくださっています。
小さなお店の、大きなフェア。
①それぞれの本に読者からのコメントがあったり。
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②弊社の本がある風景の写真が並んでいたり。
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こちらは、ある読者の部屋の本棚。感激です。
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③弊社の本をお買い求めいただくと素敵なグッズも。
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弊社作成の64ページの限定記念冊子ももらえます。
10月31日まで。
ぜひ!
おひさまゆうびん舎
〒670-0012 兵庫県姫路市本町68
tel/fax 079-288-6597
定休日/木曜日(臨時休業有)
姫路城のすぐ近くです

志のバトンをつなぐ

志のバトンをつなぐ
「志のバトンをつなぐ」というトークイベントが、
9月2日(金)14時から、滋賀県草津の
「草津市民交流プラザ」であります。
登壇されるのは、『移動図書館ひまわり号』の
著者の前川恒雄さん。
聞き手は、ぼくがつとめます。
この本を今年の7月に復刊したとき、ぼくの
友人は次のようなメールをくれました。
「図書館の世界で、市民の図書館についての機運がたかまった時代。
それを支えたのは、戦時中の苦い体験。
思想善導に走ってしまったこと。 検閲。閉鎖。
これが「良書」だときめていった息苦しい時代。
自由な発言ができなかったそんな時代をくぐりぬけたひとたちが、
新しい時代には、みんなが無料で、知るべきこと、知りたいこと、
だれもが表し、そのためには、知れる自由が必要だと、
整備を考えたのが、公共図書館のすがたです。
『公の秩序』をもとめる風潮は、いったいどんな世界をもたらすのか、
もうおじいちゃん、おばあちゃんの世代はいたいほど知っていたはず。
みずみずしい交流は、生はどこから生まれるのか。」
もし、お時間あるようでしたら、ぜひ草津へお越しください。
会場のみなさまと、前川恒雄さんの志を、ほんの僅かでも、
引き継げたら、と願っています。
滋賀

『移動図書館ひまわり号』

『移動図書館ひまわり号』
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7月15日(金)、取次搬入で新刊を出します。
久しぶりの復刊です。
『移動図書館ひまわり号』、前川恒雄著。
すごい話です。
1965年、東京の日野市に1台の移動図書館が
誕生します。
それまで、日野市には、移動図書館をふくめて、
図書館はひとつもありませんでした。
隣の市から巡回の移動図書館がやってくるだけです。
けれど、本の量がすくないし、読みたい本がないから、
だれも借りない。
市民は本を求めていないし、図書館は必要ないと、
少なくない人たちは考えていました。
その状況を変えるのが、著者をはじめとする、
若い職員たちです。
約2000冊の本を積んだ、あたらしい移動図書館は、
市民が求めるならどこへでも行き、人々と対話を重ね、
彼らの需要に積極的に応えることによって、日野市に
本の木を植えていきます。
それは、とても感動的な記録です。
彼らの活動は、全国の図書館に大きな影響を与え、
図書館界を劇的に変えていきます。
読むと、ものすごく元気が出る一冊です。
引用したい箇所が、山ほどあります。
本の可能性。
「本と町」の可能性。
名著です。
お近くの本屋さん、または図書館でぜひ。
『移動図書館ひまわり号』
著者:前川恒雄
デザイン :櫻井久
価格:2000円+税
版型:四六判上製
頁数:264頁
ISBN 978-4-904816-20-2 C0000

取次に納品する日は7月15日ですが、
その日に一斉に書店店頭に並ぶという
わけではありません。流通の関係で、
書店での発売日はマチマチです。
取次納品日から1週間〜2週間かかる
場合もございます。
ご注意ください。

『ガケ書房の頃』
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4月15日(金)取次搬入で、新刊を出します。
山下賢二著、『ガケ書房の頃』。
京都の、みなに愛された本屋さんの本です。
2004年、京都市左京区北白川にオープンし、
2015年2月に店を閉じるまで、ずっと、ガケ書房は、
どの本屋さんにも似ていない、オリジナルな本屋さんで
あり続けました。
そうした本屋さんは、どういうふうにして、出来上がったのか。
店主は、なにを考え、どのように試行錯誤したのか。
『ガケ書房の頃』は、その店主による、赤裸々な書店論であり、
エッセイ集です。
なにも持っていなかった若者が、90年代、ゼロ年代を、
ときに唐突に、ときに楽観的に、ときに歯を食いしばりながら、
駆け抜けた、時代の記録。
本屋さんの青春期。
いしいしんじさん、友部正人さん、小沢健二さんなど、
ガケ書房を愛した人たちも、重要な役回りで出てきます。
「ガケ書房」は、現在、同じ左京区に「ホホホ座」という名前で、
移転・改名して、営業を続けています。
カラーページも16ページ、ついています。
書店店頭で、ぜひ。
『ガケ書房の頃』
著者:山下賢二
写真:三島宏之
デザイン :櫻井久、中川あゆみ(櫻井事務所)
価格:1800円+税
版型:四六判並製
頁数:288頁
ISBN 978-4-904816-19-6 C0095

取次に納品する日は4月15」日ですが、
その日に一斉に書店店頭に並ぶという
わけではありません。流通の関係で、
書店での発売日はマチマチです。
取次納品日から1週間〜2週間かかる
場合も多々ございます。ご注意ください。

ぼくの出版社のつくり方

ぼくの出版社のつくり方
(ありがとうございます。満席になりました)
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今年は、3月〜6月にわたって、いくつか、
トークイベントに出させてもらいます。
話したいことがあるというよりは、読者の人たちと
近い距離で、仕事をしたいと思っているからです。
本の企画は、ぼくの頭のなかだけで生れるわけではなく、
たくさんの人との会話のなかから生まれます。
そういう機会を大切にしていきたいと思っております。
最初は、吉祥寺と西荻窪の中間にある、小さな本屋さん、
「青と夜ノ空」さん。
ここでは、「ぼくの出版社のつくり方」というテーマで
お話をさせていただきます。
起業までのことと、これからの課題。お金のことなど。
今後、出版社をやってみたいという方、ぜひ、お越しください。
12名限定と、こじんまりとした会です。
・会場;青と夜ノ空
     (東京都武蔵野市吉祥寺南町5-6-25)
・日時:3月26日(土)14:00~15:30
・参加費:1500円(お茶つき)
・定員:12名程度
・お申し込み:e-mail info@aotoyorunosora.comまで、
 件名を「3/26トークイベント申し込み」とし、
 お名前、電話番号、参加人数(複数名いる場合は全員のお名前を明記)
 をお送りください。
http://www.aotoyorunosora.com/info.html